合格するぞ!管理栄養士国家試験

管理栄養士国家試験についてのあれこれや、過去問の解説、勉強法や管理栄養士の仕事などについても書いていこうと思います。 

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基礎栄養学第26回糖質の栄養に関する問題の解説

皆さん、こんにちは。

 

今日も糖質の問題いきますよー!

 

基礎栄養学第26回80の問題です。

糖質の栄養に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) 脳には、クエン酸回路は存在しない。
(2) 脳は、糖新生で生成したグルコースを利用できない。
(3) 筋肉グリコーゲンは、嫌気的代謝に利用できない。
(4) 筋肉グリコーゲンは、グルコースとなって血中に放出される。
(5) 血中の乳酸は、肝臓でグルコースに変換される

 

 比較的よく出る問題がそろったのではないかな?という印象を受けます。

わからなかった人や、なんだったっけ?という人はもう一度復習がてら記憶をより鮮明にしてくださいね。

 

受かる秘訣は何度も解く、解いて記憶する!です。

理解してから記憶したほうが、忘れにくくなりますよ!

 

解説

(1) 脳には、クエン酸回路は存在しない。

脳にもクエン酸回路は存在します

よって✖。

クエン酸回路は解糖系の次に酸素があるとミトコンドリア内で生じる反応でした。

ひっかけかな?

この手の問題でよく出るのが、赤血球にはクエン酸回路は存在しないです。

赤血球にはミトコンドリアがないので。

合わせて覚えておきましょう。


(2) 脳は、糖新生で生成したグルコースを利用できない。

これも、もちろん脳はグルコースを利用できる。です。

よって✖。

脳の重要な栄養源はグルコースです。飢餓時にはケトン体も利用されますがグルコースが一番大切!

よって、糖新生でグルコースが作りだされることは脳にとってとても大切なことなのです。

 

(3) 筋肉グリコーゲンは、嫌気的代謝に利用できない。

筋肉グリコーゲンは嫌気的代謝によって利用できる

よって✖。

嫌気的代謝は無酸素状態でのことですよね。

グリコーゲンは分解し、グルコース6リン酸となり、解糖系でピルビン酸、乳酸となります。

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解糖系は酸素が必要ない反応です。

有酸素運動とは異なり、筋トレではこの代謝が行われます。

ちなみに、生じた乳酸は血液を介して肝臓へ行き、そこでグルコースになり再び筋肉のエネルギー源として使うこともできます。

このことをコリ回路と言いましたよね、覚えてましたか?

忘れていた人はもう一度復習を↓ 

fiveleafclover.hatenablog.com

1つの問題からも、いろいろつながっていますね。 


(4) 筋肉グリコーゲンは、グルコースとなって血中に放出される。

これは✖。とすぐにわかりましたか?

何度も出ていることをもう一度確認しましょう!

グルコース6ホスファターゼは筋肉にはない!

グルコース6ホスファターゼはグルコース6リン酸からグルコースになるのを触媒する酵素!

つまり、筋肉ではグルコースとなることはできない

 

(5) 血中の乳酸は、肝臓でグルコースに変換される

これは(3)の解説でしたように、コリ回路のことですね。

よって! 

 

答え(5)

いかがでしたか?

何度も同じような問題が出てきていますね。

 

1つ1つ理解しながら確実に進みましょう☆

ウロン酸回路(グルクロン酸経路)について

第27回81の問題の解説でウロン酸経路について載せることができなかったため、ここで説明します。

 

ウロン酸回路とは、グルコースの代謝経路の一部です。

ペントースリン酸回路やグリコーゲンの分解・合成経路とも重複する箇所があります。

概略図を描いてみました。

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それぞれ解糖系の途中から派生していますが、つながっているのが分かると思います。

ウロン酸回路で生じたUDPグルクロン酸は、有害物質の排泄や解毒など利用されます。

またその後、キシルロース5リン酸となり核酸合成や脂肪酸の生合成に必要なNADPHの供給を行うペントースリン酸回路とつながります

 

解糖系と、

グルクロン酸経路

ペントースリン酸回路

グリコーゲンの分解・合成

はどれもつながっています。

 

ひとつひとつ理解しながら、つなげても理解してみましょう☆

コリ回路,グルコース・アラニン回路の説明と第27回糖質の代謝経路の問題解説

新学期を迎え、更新がゆっくりになってごめんなさい💦これからも更新にムラがあると思いますが頑張りますので、皆さんも勉強頑張ってくださいね!

 

今日は第27回81の糖質の代謝経路についての問題を見て学習しましょう!

 

第27回81

糖質の代謝経路に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。


(1) 解糖系によるATPの産生は、有酸素運動では起こらない。
(2) コリ回路で生成したグルコースは、筋肉で利用されない。
(3) グルコース・アラニン回路によるグルコース生成は、空腹時に減少する。
(4) ペントースリン酸回路は、脂質合成のためのNADPHを供給する。
(5) ウロン酸回路(グルクロン酸経路)は、アミノ酸からの糖新生
を行う。

 

糖新生に関係する項目が、いくつかありますがわかりますか?

糖新生については以下に書いたので、まだ読んでいない人で理解があやふやな人はさらーっと読んでから解説を見てくださいね。 

fiveleafclover.hatenablog.com

 

解説

(1) 解糖系によるATPの産生は、有酸素運動では起こらない。

生化学分野で説明した解糖系覚えてますか?

解糖系はグルコースからピルビン酸または乳酸になる反応です。

この解糖系では酸素がなくても(無酸素運動でも)少しですが、ATPが産生されます。有酸素運動ならその後クエン酸回路に入り、さらにたくさんのATPが産生されます。

よって✖。

解糖系によるATPの産生は、有酸素運動でも起こる


(2) コリ回路で生成したグルコースは、筋肉で利用されない。

答えは✖。コリ回路で生成したグルコースは、筋肉で利用される

コリ回路は糖新生の時に(乳酸:コリ回路と書いてました)登場しましたので、ここで詳しく説明を加えたいと思います。

<コリ回路とは?>

筋肉でグルコースから生じた乳酸が、肝臓で糖新生により再びグルコースに変換され利用されること。

 

この回路が発生するのは、急激な運動時。急激な運動時には筋肉は無酸素状態となります。

無酸素時、グルコースは分解し(解糖系)、乳酸となります。

さらに筋肉を動かすためにはエネルギー源であるグルコースがどんどん必要になるので、この乳酸から糖新生によりグルコースをつくります。しかし、筋肉ではグルコースを作ることができません(グルコース6ホスファターゼがない)。

そこで、酵素のある肝臓で糖新生が起こり、乳酸からグルコースを作ります。そしてこのグルコースが再び筋肉へ行き、エネルギー源として使われるのです。

ちなみに、それぞれの運搬(乳酸やグルコース)は血液を介して行われます。

このグルコース(肝)⇔乳酸(筋)の循環は発見者にちなんでコリ回路と言います。

糖新生、乳酸とくればコリ回路が思い浮かび、説明できるようになれれば、かなり理解していると自信を持ってくださいね! 


(3) グルコース・アラニン回路によるグルコース生成は、空腹時に減少する。

こちらも先に答えを示します。

答えは✖。 グルコース・アラニン回路によるグルコース生成は、空腹時に増加する。

 

コリ回路と並んで抑えてほしいのが、グルコース・アラニン回路。

こちらも糖新生の説明時にはアミノ酸:グルコース・アラニン回路と書いただけだったので、ここで詳しく説明しますね。

グルコース・アラニン回路

アラニンはアミノ酸の一つですね。

この回路が発生するのは飢餓時

飢餓状態の時、筋肉ではたんぱく質を分解し得られたアミノ酸からグルコースを作ろうとします。しかし、筋肉では酵素がないためグルコースになることができません

そこで、アミノ酸のうちアラニンは血液を介して肝臓へいき、糖新生が起こり(アラニン→ピルビン酸→グルコース)、生じたグルコースが再び筋肉へ行き、筋肉自体が働くエネルギー源となります。

飢餓時でも、身体を動かすにはエネルギーが必要ですものね。

 このグルコース(肝)⇔アラニン(筋)をグルコース・アラニン回路と言います。(2)で説明したコリ回路と似ていますね。

糖新生、アミノ酸、グルコース・アラニン回路と内容も含め覚えましょう!

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新食品・栄養科学シリーズ 生化学 化学同人より

 

(4) ペントースリン酸回路は、脂質合成のためのNADPHを供給する。

これは、人体の分野の糖質代謝で必須事項として覚えておくように書いたもので、このまま正解です〇!

fiveleafclover.hatenablog.com


(5) ウロン酸回路(グルクロン酸経路)は、アミノ酸からの糖新生
を行う。

アミノ酸からの糖新生は(3)で説明したように、グルコース・アラニン回路です。

よって✖。

ちなみにウロン酸回路は(4)のペントースリン酸回路につながるものですが、今回は長くなったので、次回示します。

ウロン酸回路の詳しい説明を知りたい方は次のブログへgo☆ 

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