コリ回路,グルコース・アラニン回路の説明と第27回糖質の代謝経路の問題解説
新学期を迎え、更新がゆっくりになってごめんなさい💦これからも更新にムラがあると思いますが頑張りますので、皆さんも勉強頑張ってくださいね!
今日は第27回81の糖質の代謝経路についての問題を見て学習しましょう!
第27回81
糖質の代謝経路に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) 解糖系によるATPの産生は、有酸素運動では起こらない。
(2) コリ回路で生成したグルコースは、筋肉で利用されない。
(3) グルコース・アラニン回路によるグルコース生成は、空腹時に減少する。
(4) ペントースリン酸回路は、脂質合成のためのNADPHを供給する。
(5) ウロン酸回路(グルクロン酸経路)は、アミノ酸からの糖新生を行う。
糖新生に関係する項目が、いくつかありますがわかりますか?
糖新生については以下に書いたので、まだ読んでいない人で理解があやふやな人はさらーっと読んでから解説を見てくださいね。
解説
(1) 解糖系によるATPの産生は、有酸素運動では起こらない。
生化学分野で説明した解糖系覚えてますか?
解糖系はグルコースからピルビン酸または乳酸になる反応です。
この解糖系では酸素がなくても(無酸素運動でも)少しですが、ATPが産生されます。有酸素運動ならその後クエン酸回路に入り、さらにたくさんのATPが産生されます。
よって✖。
解糖系によるATPの産生は、有酸素運動でも起こる。
(2) コリ回路で生成したグルコースは、筋肉で利用されない。
答えは✖。コリ回路で生成したグルコースは、筋肉で利用される。
コリ回路は糖新生の時に(乳酸:コリ回路と書いてました)登場しましたので、ここで詳しく説明を加えたいと思います。
<コリ回路とは?>
筋肉でグルコースから生じた乳酸が、肝臓で糖新生により再びグルコースに変換され利用されること。
この回路が発生するのは、急激な運動時。急激な運動時には筋肉は無酸素状態となります。
無酸素時、グルコースは分解し(解糖系)、乳酸となります。
さらに筋肉を動かすためにはエネルギー源であるグルコースがどんどん必要になるので、この乳酸から糖新生によりグルコースをつくります。しかし、筋肉ではグルコースを作ることができません(グルコース6ホスファターゼがない)。
そこで、酵素のある肝臓で糖新生が起こり、乳酸からグルコースを作ります。そしてこのグルコースが再び筋肉へ行き、エネルギー源として使われるのです。
ちなみに、それぞれの運搬(乳酸やグルコース)は血液を介して行われます。
このグルコース(肝)⇔乳酸(筋)の循環は発見者にちなんでコリ回路と言います。
糖新生、乳酸とくればコリ回路が思い浮かび、説明できるようになれれば、かなり理解していると自信を持ってくださいね!
(3) グルコース・アラニン回路によるグルコース生成は、空腹時に減少する。
こちらも先に答えを示します。
答えは✖。 グルコース・アラニン回路によるグルコース生成は、空腹時に増加する。
コリ回路と並んで抑えてほしいのが、グルコース・アラニン回路。
こちらも糖新生の説明時にはアミノ酸:グルコース・アラニン回路と書いただけだったので、ここで詳しく説明しますね。
グルコース・アラニン回路
アラニンはアミノ酸の一つですね。
この回路が発生するのは飢餓時。
飢餓状態の時、筋肉ではたんぱく質を分解し得られたアミノ酸からグルコースを作ろうとします。しかし、筋肉では酵素がないためグルコースになることができません。
そこで、アミノ酸のうちアラニンは血液を介して肝臓へいき、糖新生が起こり(アラニン→ピルビン酸→グルコース)、生じたグルコースが再び筋肉へ行き、筋肉自体が働くエネルギー源となります。
飢餓時でも、身体を動かすにはエネルギーが必要ですものね。
このグルコース(肝)⇔アラニン(筋)をグルコース・アラニン回路と言います。(2)で説明したコリ回路と似ていますね。
糖新生、アミノ酸、グルコース・アラニン回路と内容も含め覚えましょう!
新食品・栄養科学シリーズ 生化学 化学同人より
(4) ペントースリン酸回路は、脂質合成のためのNADPHを供給する。
これは、人体の分野の糖質代謝で必須事項として覚えておくように書いたもので、このまま正解です〇!
(5) ウロン酸回路(グルクロン酸経路)は、アミノ酸からの糖新生を行う。
アミノ酸からの糖新生は(3)で説明したように、グルコース・アラニン回路です。
よって✖。
ちなみにウロン酸回路は(4)のペントースリン酸回路につながるものですが、今回は長くなったので、次回示します。
ウロン酸回路の詳しい説明を知りたい方は次のブログへgo☆