解糖系と第28回糖質・脂質代謝についてのやさしい解説
では第28回の問題を見ていきましょう!
第28回27
糖質・脂質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)解糖系は、ミトコンドリアに存在する。
(2)ペントースリン酸回路は、ゴルジ体に存在する。
(3)肝臓では、グルコース6-リン酸からグルコースが生成される。
(4)脂肪酸合成は、核で行われる。
(5)β酸化は、リソソームで行われる。
この問題は代謝の場所を聞いている問題ですね。
それぞれ重要な代謝なので、場所の答えとともに説明を加えていきます。
解説
(1)解糖系は、ミトコンドリアに存在する。
糖質の代謝の大まかな流れは 糖質⇒解糖系⇒TCA回路⇒電子伝達系⇒ATPでしたね!
この反応の場所でよく聞かれるのが、解糖系とそれ以降の反応が行われる場所です。
解糖系は細胞質ゾル、それ以降はミトコンドリアでの反応と覚えておいてください!
では解糖系とは?
糖質代謝の入り口である解糖系は簡潔に書くと
グルコースからピルビン酸または乳酸になる反応です。
ピルビン酸になるのは酸素があるとき、乳酸は酸素がないときに生成されます。
解糖系は酸素がなくても進行できるというのもポイントです。
酸素がある場合だけ、次のTCA回路へと反応を続けることができます。
ちなみに、解糖系ではエネルギーのもととなるATPが2分子できます。
解糖系のさらに詳しい酵素などの説明は次回。
ここまでは、覚えておいてくださいね!
(2)ペントースリン酸回路は、ゴルジ体に存在する。
ペントースリン酸回路については以前のブログで説明しましたね。
この反応は解糖系の側路です!つまり、解糖系の途中から派生し、再び解糖系に合流するのです!
参考↓解糖系とペントースリン酸回路の概略図
グルコース6リン酸から別経路のペントースリン酸回路ができています。
ペントースリン酸回路は解糖系と同じ場所、ということで反応は細胞質ゾルです!
答えは✖。
(3)肝臓では、グルコース6-リン酸からグルコースが生成される。
グルコースの解糖経路をさらに細かく見ると、グルコース→グルコース6リン酸→→→ピルビン酸となります。
このグルコース6リン酸はキーになるもので、ここから上記で説明したペントースリン酸回路もできますし、グリコーゲンやグルクロン酸生合成への道も分かれます。
グルコースからグルコース6リン酸になるための酵素がへキソキナーゼただし肝細胞ではグルコキナーゼ。
このへキソキナーゼは不可逆的です。つまりグルコース→グルコース6リン酸はできても、グルコース6リン酸→グルコースはできません。
そこで、グルコース6リン酸→グルコースの反応を触媒するのがグルコース6-ホスファターゼです。
グルコース6ホスファターゼは筋肉にはありません!がもちろん肝臓には存在します。よって正解は〇!
この話のつづきもまた出てきそうですね~💦ですが、とりあえず今日はここまで。
(4)脂肪酸合成は、核で行われる。
(5)β酸化は、リソソームで行われる。
これは第29回とほぼ同じことを聞かれている問題ですね。
説明したように、
脂肪酸合成は細胞質
β-酸化はミトコンドリア
ですので、答えはどちらも✖。
今回は場所の問題でしたが、あわせてグルコース6リン酸やグルコース6-ホスファターゼなどはよく出るので、覚えておいてくださいね!