第28回基礎栄養学:糖質の栄養に関する問題の解説
今日は第28回の問題を見てみましょう。
第28回82
糖質の栄養に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) 空腹時には、グルコースからの脂肪酸合成が促進される。
(2) 空腹時には、アミノ酸からのグルコース合成が抑制される。
(3) 糖質摂取量の増加は、ビタミンB₁必要量を減少させる。
(4) 筋肉グリコーゲンは、脳のエネルギー源と して利用される。
(5) 急激な運動時には、グルコースから乳酸が生成される。
今回も比較的よく出る問題だと思います。
わからなかった問題はしっかり理解して、何度も解いてみましょう!
解説
(1) 空腹時には、グルコースからの脂肪酸合成が促進される。
空腹時は脂肪が分解し、中性脂肪を構成しているグリセロールは糖新生へ(グルコースとなる)、脂肪酸はエネルギー源またはケトン体として使われます。
よって✖。
空腹時は脂肪酸合成は抑制されます。
単純に、満腹の時またはグルコースが大量な時は、脂肪がつくられる(=脂肪酸合成も促進)と考えたらわかりやすいかな。
(2) 空腹時には、アミノ酸からのグルコース合成が抑制される。
これは糖新生と考えられます。空腹時つまりグルコースがない場合はアミノ酸や乳酸からグルコースがつくられます。
よって✖。
空腹時には、アミノ酸からのグルコース合成が促進される。
(3) 糖質摂取量の増加は、ビタミンB₁必要量を減少させる。
ビタミンB1は糖質の代謝に必要なビタミンです。
よって✖。
ビタミンB₁必要量を増加させます。
(4) 筋肉グリコーゲンは、脳のエネルギー源として利用される。
脳のエネルギー源はグルコース!飢餓時などではケトン体がエネルギー源となります。
筋肉グリコーゲンはグルコース6-ホスファターゼがないのでグルコースにはなれない!(赤字の事項は何回も出るので覚えておくように)つまり、筋肉グリコーゲンは血糖(血液中のグルコース)になれません。
よって✖。
筋肉グリコーゲンは脳のエネルギ-に利用されません。
(5) 急激な運動時には、グルコースから乳酸が生成される。
急激な運動時とは、無酸素運動のことです。
解糖系を思い出してほしいのですが、解糖系ではグルコースから乳酸またはピルビン酸ができました。乳酸ができるのは酸素のないとき。
つまり、無酸素運動の時はグルコースから乳酸が生成されます。
よって正解〇!
答え(5)