第29回糖質・脂質の代謝に関するわかりやすい解説
前回の糖質・脂質の代謝の基礎事項の説明から少し日が経ってしまいましたが、今日から過去問の解説をしていきます。
まずは、第29回の国家試験問題を解いていきたいと思います。
第29回27
糖質・脂質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)肝臓のグリコーゲンは、血糖値の維持に利用される。
(2)糖新生は、筋肉で行われる。
(3)脂肪細胞中のトリアシルグリセロールの分解は、インスリンにより促進される。
(4)脂肪酸合成は、リボソームで行われる。
(5)β酸化は、細胞質ゾルで行われる。
わかりましたか?
(4),(5)は場所についての問題で、以前書きましたね。
忘れた人やわからなかった人はもう一度基本をおさらいしてから解いてみましょう!
では、解説とともに答えを見ていきましょう。
解説
(1)肝臓のグリコーゲンは、血糖値の維持に利用される。
グリコーゲンは、グルコースの貯蔵形態です。
一定量なら肝臓のグリコーゲンに蓄えることができ、体内でグルコースが不足したときなど必要時に分解し、グルコースを血液に乗せて必要なところへ運びます。
血中のグルコースのことを血糖値と言いますよね。
グルコースが血中に多いときはグリコーゲンとして蓄えて、血中の糖の量を調節しています。
ということで、これが正解〇!
この問題とよく対比されるのが、筋肉グリコーゲンは血糖の維持に使われない。ということです。これには酵素が関係してきますが、詳しくは後々登場したときに解説していきます☆
(2)糖新生は、筋肉で行われる。
糖新生は主に肝臓で行われます!ので答えは✖。
糖新生とは?簡単にいうと、
絶食や飢餓の時に血中にグルコースがない!となると、糖以外の成分からグルコースをつくる代謝経路のことです。
糖新生についての詳しいことは、またゆっくり解説します。
(3)脂肪細胞中のトリアシルグリセロールの分解は、インスリンにより促進される。
トリアシルグリセロールとは中性脂肪のことです!
中性脂肪はトリ(=3つの)アシル基(=脂肪酸)がついたグリセロールです。
略してTGの分解はどういうときに起こるか考えてみましょう。
脂肪の分解は、お腹いっぱいの時とお腹がすいている時では、当然お腹がすいているときに起こりますよね?
お腹が空っぽの時は、血糖値も低いです。
そして、インスリンは血糖値を低下させるホルモンです。
お腹がすいて、血糖値も低いときにインスリンがたくさん分泌されたら大変なことになります。インスリンはお腹がいっぱいの時、つまり食後に分泌されます。
インスリンが出る食後は糖質を細胞にため込みます。当然過剰の糖質は中性脂肪となって体に貯蔵されますが。
よってこの問題は✖。
TGの分解はインスリンによって促進ではなく、抑制されます。(詳しくいうと、ホルモン感受性リパーゼというTG分解酵素の活性がインスリンによって抑制されます)
またはインスリンによってTGの合成が促進されると考えましょう。
(4)脂肪酸合成は、リボソームで行われる。
(5)β酸化は、細胞質ゾルで行われる。
これらはどちらも前回覚えておいてくださいといったところです。
脂肪酸合成は細胞質
β-酸化はミトコンドリア
ということでどちらも✖。
いかがでしたか?
次回はこの分野の28回の解説をします♪