第28回 情報伝達に関する問題の解説
それでは第28回の28の問題を解いてみましょう!
第28回28 情報伝達に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)交感神経終末の伝達物質は、アセチルコリンである。
(2)肝細胞のグルカゴン受容体刺激は、グリコーゲン合成を促進する。
(3)アドレナリン受容体は、核内受容体である。
(4)cAMP(サイクリックAMP)は、セカンドメッセンジャーである。
(5)インスリンは、肝細胞のグルコース輸送体(GLUT2)に作用する。
これが正解だ!というのが一つあるのに気がつきましたか?
すべて理解できていなくても、今までの解説で出てきた一文があります。
それが正解!
では、詳しい解説とともに答えを見ていきましょう!
解説
(1)交感神経終末の伝達物質は、アセチルコリンである。
前回説明しましたね。
この問題を前回の図に当てはめると、節後線維末端から出ている神経伝達物質となるので、答えはノルアドレナリンになります。よって✖。
(2)肝細胞のグルカゴン受容体刺激は、グリコーゲン合成を促進する。
この問題は情報伝達の問題というより、インスリン・グルカゴンの基本的作用を知っているかどうかではないでしょうか?
他の分野でも出てくると思うので、詳しくはその時に解説する予定ですが、
インスリンは血糖値を下げる⇒グリコーゲンの合成促進
グルカゴンは血糖値を上げる⇒グリコーゲンの分解促進
とは最低限覚えておきましょう!
(ちなみに、グリコーゲンは糖がいーっぱい連なってできている糖の貯蔵体です)
答えは✖。
(3)アドレナリン受容体は、核内受容体である。
アドレナリンは水溶性の物質のため、細胞膜を通過できず核内に直接作用できません。
アドレナリン受容体は細胞膜表面にあります。よって✖。
(4)cAMP(サイクリックAMP)は、セカンドメッセンジャーである。
これが正解です〇!
何度も出てきましたね。Gたんぱく質によってcAMPがセカンドメッセンジャーとして活性化されました。
詳しくは前々回のぶろぐを。
(5)インスリンは、肝細胞のグルコース輸送体(GLUT2)に作用する。
GLUT(グルット)とはglucose transporter=グルコース輸送体のことを言います。GLUTには、GLUT1,2,3,4などがあり、それぞれ発現場所などが異なります。
このうちGLUT4はインスリンの刺激によって細胞膜上に発現し、グルコースを取り込みます。ほかのGLUTは常に発現しているのですが、4はインスリンの刺激があって初めて現れるのです。
よって、正解は✖。インスリンが作用するのはGLUT2ではなくGLUT4です。ちなみにGLUT4は脂肪組織や筋組織にインスリンが作用して発現します。
いかがですか?
第25~27回には情報伝達に関する問題は出ていなかったので、必須項目とはいいがたいですが、インスリンやグルカゴンなどほかの分野でも何回も出てくるような単語が登場しているので、理解していればプラスになると思います☆