第29回 人体の分野、情報伝達に関する問題解説
それでは29回管理栄養士国家試験の問題28番の解答・解説いきます!
第29回28
情報伝達に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)副交感神経終末の伝達物質は、ノルアドレナリンである。
(2)インスリン受容体は、細胞膜を7回貫通する構造をもつ。
(3)グルカゴン受容体刺激は、肝細胞内でcGMP(サイクリックGMP)を生成する。
(4)細胞内カルシウムイオン濃度の低下は、筋細胞を収縮させる。
(5)ステロイドホルモンは、遺伝子の転写を調節する。
正解が分かりましたか?
ちんぷんかんぷんな人は必ず前回のブログの基礎事項を確認して流れをつかんでから解いてくださいね。
この分野は難易度が高いと思うので、なるべく簡単に理解できるような解説に努めます。が、わからない人はスルーしても個人的にはいいかなと思いますが。。。
解説
(1)副交感神経終末の伝達物質は、ノルアドレナリンである。
これは神経系の情報伝達ですね。
刺激を受けた神経細胞が副交感神経であり、その末端から神経伝達物質としてノルアドレナリンが放出されて、情報伝達をするかどうかです。
先に正解を言いますが、答えは✖です。
この場合の神経伝達物質はアセチルコリンになります。
下記の図を見ながらもう少し詳しく解説すると…
参考URL:http://blogs.yahoo.co.jp/pnctb565/15321031.html
自律神経系(交感神経、副交感神経)の経路は中枢神経系と効果器の間に2つのニューロンがあります。一つ目の軸索を節前線維、2つ目の軸索を節後線維と言います。
それぞれの末端から神経伝達物質が出ているのが分かりますか?(図でいうと緑色・赤色の点々)
これが、交感神経の節後線維の末端(赤い点々)のみ、ノルアドレナリンで、その他の交感神経節前線維、副交感神経の節前・節後線維(緑の点々)からはアセチルコリンが神経伝達物質として放出されているのです。
ちなみにこの問題は解剖生理学の分野にあたります。
(2)インスリン受容体は、細胞膜を7回貫通する構造をもつ。
細胞膜を7回貫通する構造をもつのは、Gたんぱく質でしたね!よって✖。
インスリンは細胞膜を通過できない水溶性の情報伝達物質ですが、Gたんぱく質は関係せず、別の方法で情報が伝達されます。
(3)グルカゴン受容体刺激は、肝細胞内でcGMP(サイクリックGMP)を生成する。
グルカゴンの刺激はGタンパク質受容体を介する情報伝達をすると前回説明しました!
Gたんぱく質によりサイクリックAMP(cAMP)が生成されましたね!よって✖。
(4)細胞内カルシウムイオン濃度の低下は、筋細胞を収縮させる。
これは筋細胞内の情報伝達の問題ですね。
カルシウムイオンが上昇すると(これを感知するトロポニンが関与して)筋収縮が起こります。よって✖。
(5)ステロイドホルモンは、遺伝子の転写を調節する。
ステロイドホルモンは脂溶性なので、直接細胞膜を通過して核内へ情報を伝えることができると前回も書きましたね。核内で遺伝子の転写が行われていますよね!
よってこれが正解〇です!
いかがでしたか?
次回は第28回の情報伝達の問題の解説をします。