第26回酵素についての問題解説
皆さんこんにちは!
順番なら次は第27回の管理栄養士国家試験の酵素に関する解説なのですが、27回の問題は例年と異なり酵素についての基礎知識というよりは、酵素の種類などを覚えているかどうかの問題でした。また、基礎栄養学の知識にとても近いので割愛し(基礎栄養学の解説に登場するかも)今回は第26回の解説にします!
では、第26回の問題を解きましょう!
酵素に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) アポ酵素は、補欠分子族を含む。
(2) 律速酵素は、代謝経路で最も速い反応を触媒する。
(3) アイソザイムは、同じアミノ酸配列をもつ。
(4) 化学反応の活性化エネルギーは、酵素によって低下する。
(5) 競合阻害では、酵素反応の最大速度(Vmax)は低下する。
アポ酵素や律速酵素、アイソザイムについてもよく出る単語として紹介しましたね!
そろそろ覚えることができたでしょうか?
まだの人はもう一度復習。
しつこいようですが💦このしつこく復習することがとても大事なのです↓
では、今までの知識で足らなかったところの解説いきます!
(1) アポ酵素は、補欠分子族を含む。
より詳しく解説すると、酵素たんぱく質(アポ酵素)と共有結合でがっちり結合しているものを補欠分子族といいます。ちなみに非共有結合でゆるく結合をしているものを補酵素といいます。補助因子も状態でいろいろ呼び方が変わるのですね。ややこしい~!統一してくれたらいいのに、と思うのは私だけでしょうか??
答えは✖です。
全く同じ問題が第29回に登場しましたね。正解は✖。やはり過去問は大事ですね☆
(3) アイソザイムは、同じアミノ酸配列をもつ。
これもほぼ同じ問題が第28回に出ています。アイソザイムはたんぱく質の一次構造が違う!たんぱく質の一次構造はアミノ酸の配列のことですね。よって✖。
(4) 化学反応の活性化エネルギーは、酵素によって低下する。
活性化エネルギーも酵素を理解するうえで必須です。まだ解説してなかったので、簡単に説明しますね。(以下図を見ながら理解してくださいね)
ある物質(基質Aとします)が酵素と反応して反応生成物(B)となります。
AとBは 違う物質なので、エネルギーも異なります。
AからBになるためには乗り越えるべき高い壁があります。この壁を乗り越える力を活性化エネルギーといいます。この高さは酵素によって低くなります。必要なエネルギーは少ないほうがスムーズにですよね。酵素がその手助けをしてくれています。
よってこれが正解です〇!
ちなみに、活性化エネルギー自体はAとBのエネルギー値の差には影響しませんよ。
(5) 競合阻害では、酵素反応の最大速度(Vmax)は低下する。
この競合阻害も大事なのですが、すべて覚えるとパンクしてしまうと思うので、きちんと説明しますが、最初はさらっと読んでください。
酵素の活性を低下させる(=阻害する)もののうち代表的な2つのパターンを紹介します。
- 競合阻害(競争阻害、拮抗阻害とも言います)
- 非競合阻害
1、競合阻害
基質に似た物質が、酵素と基質との結合部位に結合することで酵素反応を阻害する。
この阻害ではVmaxは変わらないがKmは大きくなります。
酵素にとっては阻害剤があることで基質の濃度が薄まってしまったのと同じことになるのです。また、基質がたくさんあると阻害剤の影響がほとんど無視できるので、Vmaxは影響なしと考えられます。
Vmax=初速度、Km=ミカエリス定数については↓参照。
2、非競合阻害
酵素の基質結合部位とは関係のない部分に結合し、酵素反応を阻害する。
この反応ではKmは変わらないがVmaxは小さくなります。よって、答えは✖です。
酵素と基質の結合自体には影響しないので、Kmには影響しません。しかし、阻害剤は酵素反応そのものを阻害してしまうので、阻害剤が増えるにしたがって、最大反応速度はどんどん小さくなります。
他にも不競合阻害と呼ばれKmもVmaxも変化させるような、酵素-基質複合体にのみ結合し阻害する反応もあります。
いかがでしたか?
酵素についての知識がついたでしょうか?
(5)が間違いだとわかるより、(4)が正解だとわかることが大事なので、是非活性化エネルギーと酵素の関係は覚えておいてくださいね◎