合格するぞ!管理栄養士国家試験

管理栄養士国家試験についてのあれこれや、過去問の解説、勉強法や管理栄養士の仕事などについても書いていこうと思います。 

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第29回酵素についての問題解説

酵素についての過去問を解いていきましょう!

 

第29回 酵素に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アポ酵素は、触媒作用を示す。
(2)酵素のアロステリック部位は、基質を結合する。
(3)アイソザイムは、ミカエリス定数(Km)が同じ酵素である。
(4)酵素の反応速度は、至適pHで最大となる。
(5)律速酵素は、代謝経路で最も早い反応に関与する。

 

前回の基礎知識と重要語句をマスターしていればほとんどわかる問題ですね。

全く分からない人は前回のブログを参考にしてくださいね。 

fiveleafclover.hatenablog.com

(1)アポ酵素は、触媒作用を示す。

アポ酵素はそのままでは作用できませんでしたね!

非タンパク質性の補助因子がついてはじめて活性を示す酵素でした。

ということで✖。

 

(2)酵素のアロステリック部位は、基質を結合する。

これも前回学習しました。

基質は酵素のアロステリック部位ではないところに結合するのでしたね。

なので間違い✖。


(3)アイソザイムは、ミカエリス定数(Km)が同じ酵素である。

アイソザイムについては前回説明しましたが、ミカエリス定数についてはふれませんでした。このミカエリス定数も酵素を理解するのに必要なので、ついでにここで詳しく説明しますね。

頭がパンクしそうな人はとりあえずさらっと読んじゃってください。

 

酵素の反応速度と基質の濃度には『ミカエリス・メンテンの式』という関係があります。この式を書いても難しくなるだけなので、やめておいて…

このややこしい式を導くうえでミカエリスさん考え出した数値がミカエリス定数!

ミカエリス定数Kmとは最大反応速度Vmaxの1/2の速度をもたらします。

???

という感じですかね?

酵素の反応速度は酵素の濃度が一定の場合、基質濃度の上昇に比例して大きくなります。しかし、永遠に大きくなるのではなく、一定のところで反応速度は頭打ちになり、ついには一定になります。これが最大速度(Vmax) 

この図で理解できますか?

f:id:fiveleafclover:20160303152153j:plain

   マンガでわかる生化学 オーム社より 

マンガでわかる生化学

マンガでわかる生化学

 

反応の初期は基質の濃度と反応速度が直線関係にあります。(この時の速度を初速度)

ミカエリス定数とは、反応の初速度が最大の反応速度(Vmax)の半分の速度(1/2Vmax)になるときの基質の濃度のことです

ミカエリス定数はそれぞれの酵素に特有の数値であり、酵素と基質の親和性を知ることができるのです!

ミカエリス定数が小さい⇒親和性が高い(より低い基質濃度で反応速度が最大になるから)

ミカエリス定数が大きい⇒親和性が低い(基質の濃度を高くしないと反応速度が上がってこないから)

 

この問題のアイソザイムは同じ反応を触媒するが、構造が異なる酵素のことでしたね。構造が異なるということは、ミカエリス定数も違います。ミカエリス定数は、それぞれの酵素に固有の数値ですから。ということで、✖です。

 

(4)酵素の反応速度は、至適pHで最大となる。

これが正解〇

至適pHで酵素はもっともよく反応するのでしたね!

 

(5)律速酵素は、代謝経路で最も早い反応に関与する。

前回参照。これは間違い✖。

最も遅い反応に関与でした!

 

いかがですか?

今日はミカエリス定数が出てきました。

あせらずゆっくり理解してくださいね!

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