合格するぞ!管理栄養士国家試験

管理栄養士国家試験についてのあれこれや、過去問の解説、勉強法や管理栄養士の仕事などについても書いていこうと思います。 

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第30回75 炭水化物の栄養に関する記述の解説

今日も第30回の問題を解説します。

炭水化物の栄養に関する記述とありますが、過去問では糖質、脂質の代謝や栄養で出題されている問題と類似しているものもあるので、落ち着いて解いていきましょう!

 

第30回75 炭水化物の栄養に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)筋肉のグリコーゲンは、血糖値の維持に利用される。
(2)赤血球は、エネルギー源として乳酸を利用している。
(3)肝臓は、脂肪酸からグルコースを産生している。
(4)脳はエネルギー源としてリボースを利用している。
(5)脂肪組織は、グルコースをトリアシルグリセロールに変換して貯蔵する。

 

よく出る問題も出ています。

 

1つでも確実にわかったら、5択→4択→→2択と正解に近づいていくので、確実にわかる問題を増やしましょうね。

 

では、解説。

(1)筋肉のグリコーゲンは、血糖値の維持に利用される。

これは、何度も出題されている問題です。

正しくは筋肉グリコーゲンは血糖の維持に利用されない。よってです。

理由もきっちりおさえておきましょう。

筋肉ではグリコーゲンから血糖(グルコース)に変換する酵素がないです!

これは、毎回出ると思ってもよいくらい、よく出ますので確実に覚えましょうね!


(2)赤血球は、エネルギー源として乳酸を利用している。

これも正解は

赤血球は、エネルギー源としてぶどう糖(=グルコース)のみを利用しています。

この問題と合わせてチェックしておいてほしいのが、脳のエネルギー源です。

と、解説しようと思いましたがちょうど(4)に問題が出題されていたのでそこで解説します。


(3)肝臓は、脂肪酸からグルコースを産生している。

この問題も

解説済みですが、↓

fiveleafclover.hatenablog.com

 

脂肪酸が分解して生じたアセチルCoA からピルビン酸に変換する酵素がないため、グルコースを産生することができません。 

 

これも、あやふやになりそうな問題なので覚えておきましょうね!


(4)脳はエネルギー源としてリボースを利用している。

これもです。

脳のエネルギー源はぶどう糖とケトン体です。

脂肪酸(よくひっかけで出題される)などは利用できません。

(2)の赤血球と(4)の脳のエネルギー源は覚えておきましょうね。


(5)脂肪組織は、グルコースをトリアシルグリセロールに変換して貯蔵する。

 これが正解〇です。

 トリアシルグリセロールとは、中性脂肪のこと。

グルコースはグリコーゲンとして蓄えるのは限界があるため、余剰は脂肪組織に中性脂肪として貯蔵されます。

つまり、過剰に摂取した糖質は脂肪になるのですね。

 

正解(5)

 

いかがでしたか?

 

過去問を解説して思うのは、何度も同じような問題が出る(特に基礎栄養、生化学分野)ということです。

大事なとこも原理も変わらないので、きっと同じ問題になってしまうのでしょう。

 

どこが、大事か、よく出るか、何度も解いているうちにわかってくると思います。

そうなるまで、努力・忍耐が必要ですが頑張りましょうね!!! 

第30回20 核酸の問題、PCR法のくわしい解説

今日は第30回核酸の解説をします。

 

核酸の分野も重要なところは解説済みですので、過去の解説と照らし合わせ、不十分だったところはさらに詳しく解説していきます。

 

では、まず問題

20 核酸の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法には、プライマーが必要である。
(2)プロモーターは、mRNAの移動に必要である。
(3)rRNA(リボソームRNA)は脂肪酸を運ぶ。
(4)イントロンは、タンパク質に翻訳される。
(5)DNA分子中のシトシンに対応する相補的塩基は、アデニンである。

 

答えがわからなかった人は以下の解説へGO!

 

解説

(1)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法には、プライマーが必要である。

ポリメラーゼ連鎖反応法は頻出問題でしたね。

PCR反応は、DNAポリメラーゼを利用して特定の領域のDNAを増幅させる実験手法のこと。ですが、この反応にはプライマーという核酸の断片が必要です。

プライマーをもとに、欲しいDNAを自由に作成することができます。

 

よって、この設問が正解〇

 

余談ですが、このPCR法は現在とても頻繁に行われています(リアルタイムPCR法など)。ですので、管理栄養士国家試験問題作成に関わる人は、ほとんど大学の先生なので、先生方自身の研究でこの手法を用いていることが多いです。自分の研究で行っていることは身近に感じられ、問題にも出しやすいかなと思います!

よって、これからもPCR法はよく出るのではないかと思うので、少し詳しく以下に載せています。

お時間がある人、詳しく学びたい人はチェックしてください☆

 

私たちは約60兆個の細胞から成り立っていますが、その細胞の中の染色体という部分に、DNAは存在しています。よく設計図と例えられます。

 

遺伝子診断などで、ある特定の部位を調べたい!というときには、少量のDNAを増幅し、必要な量のDNAを得ます。そして、診断に用いるのですが、このDNAを増幅させる手法がPCR法です↓。

f:id:fiveleafclover:20160826103857p:plain

絵:http://first-genetic-testing.com/genetic-testing/flow.html

1、2本鎖のDNAを 熱を加えることにより、1本鎖に分解し、そこに

2、増幅させたい領域のプライマーを結合し

3、DNAポリメラーゼによって、合成が開始される。 

4、これを繰り返し、増幅させたい部位のDNAがどんどんできる。

といった具合いになります。

こうやって、髪の毛からとか爪からとか少量のDNA断片から、確認したいDNAを増幅して検査・診断に用いるのです。

 

(2)プロモーターは、mRNAの移動に必要である。

プロモーターとは遺伝子の上流域に存在し、DNAからmRNA へ転写を開始する領域のことです。

よって、間違い✖。mRNAの移動とは関係ないです。

 

ちなみに、DNAからmRNAへと遺伝情報を転写しますが、この転写を調節する領域には、転写を始めるプロモーター、転写を活性化するエンハンサー、また、逆に転写を抑制するサイレンサーなどと呼ばれる部分もあります。 

 
(3)rRNA(リボソームRNA)は脂肪酸を運ぶ。

rRNAはたんぱく質合成の場であり、特に何も運んできません。

tRNA(トランスファーRNA)はrRNAにアミノ酸を運んできますが、この問題がtRNAであっても間違い✖。

 

ちなみにこの問題、第28回にtRNAは脂肪酸を運ぶ(答えは✖)と、出ていました。脂肪酸は運んできませんね。

 

(4)イントロンは、タンパク質に翻訳される。

まず、答えから。

この問題は間違い✖です。

正しくはエクソンはたんぱく質に翻訳にされるです。

 

エキソン(エクソン)・イントロンについては、今までかけなかったですが知っておいたほうが良い基礎知識です。

 DNAの情報をmRNAに転写すると言いましたが、このmRNAはまだ不完全です。

不完全というのは、配列に必要なアミノ酸情報があるエクソンという部分と、不必要なイントロンという部分が含まれているからです。

不要な部分は切り捨てられ(スプライシングという)、必要な情報を持ったエクソンのみ結合し、翻訳されます。

f:id:fiveleafclover:20160826144425j:plain

イントロン=ントロ (いらんとろう)などと無理矢理覚えておきましょう☆

  

(5)DNA分子中のシトシンに対応する相補的塩基は、アデニンである。

 相補的塩基は覚えるしかないと書きました。

A(アデニン)はT(チミン)またはU(ウラシル)

G(グアニン)はC(シトシン)とです!

 

よってシトシンに対応するのはグアニンなので間違い✖!

 

正解(1)

 

いかがでしたか?

少し解説が詳しくなったので、より詳しく学びたい人はきちんと読んで、頭がパンクしそうな人はさら~っと読んでくださいね。

第30回21酵素の問題の解説

と~っても久しぶりの投稿です。

 

皆さん、勉強はコツコツと進めていたでしょうか?

 

いつの間にか夏になり、そろそろ本気にならないとやばいなと、思ってはいるけど…という人も多いのではないでしょうか?

 

2016年3月に試験が行われた第30回管理栄養士国家試験の問題と正答がでましたので↓

www.mhlw.go.jp

今日はこの第30回の問題の中から酵素についての問題を見ていきます。

 

21 酵素に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

⑴ 反応速度は、至適pHで最小となる。

⑵ 酵素と基質の親和性は、ミカエリス定数(Km)が大きいほど高い。

⑶ アポ酵素は、単独で酵素活性をもつ。

⑷ 乳酸脱水素酵素には、アイソザイムがある。

⑸ 化学反応における活性化エネルギーは、酵素によって増大する。

 

この問題、実は今までのこのブログの解説を読めば解けるのです!

さ~ぱりわからない!という人は以下のブログから遡って酵素の問題をすべて解いてからこの問題を解いてみて下さい。 

fiveleafclover.hatenablog.com

 

どうでしたか?

 

重複する問題は簡単に解説していきます。

 

解説

⑴ 反応速度は、至適pHで最小となる。

反応速度とは基質から酵素の働き(酵素活性)で反応生成物となる反応の速さのことでしたね。ここで、最大の酵素活性を与えるpHを至適pHと言いました。

よって、反応速度は至適Phで最大となる。間違い✖。

 

⑵ 酵素と基質の親和性は、ミカエリス定数(Km)が大きいほど高い。

ミカエリス定数については詳しくは第29回の酵素の解説に書いてあるのでそこを参照してください。 

fiveleafclover.hatenablog.com

 ミカエリス定数が大きい⇒親和性が低い(基質の濃度を高くしないと反応速度が上がってこないから)でした。

よって、間違い✖。

正しくは、酵素と基質の親和性はミカエリス定数(Km)が大きいほど低い

 

⑶ アポ酵素は、単独で酵素活性をもつ。

この問題は第28回と全く同じです。

アポ酵素だけでは酵素として機能しません。よって✖。

 

(4) 乳酸脱水素酵素には、アイソザイムがある。

 この問題が正解!〇

アイソザイムについては重要語句の通りですが、乳酸脱水素酵素はアイソザイムがある代表的なたんぱく質です。

これは、覚えるしかないです💦

アイソザイムの種類をたくさん覚える必要はないと思います。覚えることだらけですものね、テストまで…

とりあえずアイソザイムの種類は、この乳酸脱水素酵素だけ覚えましょう。

 

⑸ 化学反応における活性化エネルギーは、酵素によって増大する。

 これも詳しく解説済みです。

fiveleafclover.hatenablog.com

化学反応における活性化エネルギーは、酵素によって減少する。

よって✖。

 

正解(4)

いかがでしたか?

(4)以外は解説済みだったので、過去の解説を覚えてくれていた人は、乳酸脱水素酵素を知らなくても消去法で解けたかなと思います。

 

過去の解説といっても、すぐ簡単に頭に入って残るはずがないと思うので、何度も読んで、解いて、理解して、と繰り返し勉強頑張ってくださいね。

 

わたしも更新がんばらないと…!

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