合格するぞ!管理栄養士国家試験

管理栄養士国家試験についてのあれこれや、過去問の解説、勉強法や管理栄養士の仕事などについても書いていこうと思います。 

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リポたんぱく質についてのまとめと問題解説

リポたんぱく質の説明はざっとしかしてなかったため、改めて問題を解きながら整理していきます。

 

とりあえず基礎知識として

リポたんぱく質は脂質とタンパク質の複合体のこと。

大きく分けて比重の低いほうから、カイロミクロン、VLDL、(IDL)、LDL、HDLとなります。

 

問題では、どのようなことが問われるか見ていきましょう。

 

 

27-84 リポたんぱく質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1) キロミクロンは、コレステロールを含まない。
(2) VLDLは、主に小腸で合成される。
(3) LDLは、VLDLから生成される。
(4) LDLは、VLDLよりトリアシルグリセロール含有率が高い。
(5) HDLは、肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織へ運搬する。

 

リポたんぱく質の脂質の構成割合などについてチェックしておく必要がありそうですね。

では解説とともにポイントを抑えていきましょう。

 

解説

(1) キロミクロンは、コレステロールを含まない。

答えは間違い✖。

 

キロミクロンの脂質部分のほとんど(90%)がトリグリセリド(中性脂肪)となっていますが、コレステロールも含まれます

どのリポたんぱく質も脂質部分は、トリグリセリド、コレステロール、リン脂質などからできていますが、それぞれ構成割合が違います。

 

キロミクロンで覚えておくべきは、

・ほとんどトリグリセリド

・食事由来(外因性)

・小腸で合成

です。

 

(2) VLDLは、主に小腸で合成される。

これも間違い✖。

VLDLは肝臓で合成されて全身をめぐります。

小腸で合成されるのはキロミクロンです。


(3) LDLは、VLDLから生成される。

これが正解〇!

一部のVLDLはLDLへとなります

その経路は覚えなくても良いと思うので、詳しくは割愛します。

 

(4) LDLは、VLDLよりトリアシルグリセロール含有率が高い。

これも間違い✖。

LDLはコレステロール含有率が高いです。

ちなみにLDLは全身にコレステロールを配って回る悪玉です。 

 

(5) HDLは、肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織へ運搬する。

これも間違い✖。

この問題はLDLのことで、HDLは末梢のコレステロールを肝臓に運びます。

末梢にたまっているコレステロールを運び出しくれるので、善玉コレステロールと言われています。

末梢のコレステロールを肝臓へ運び、肝臓で代謝(分解・再利用など)されます。

 

 

リポたんぱく質についての問題はいかがでしたか?

 

覚えることが多すぎる!ってわけでもないので。ここに書いた分は頑張って頭に入れおいてくださいね。

第26回食後の代謝についてのわかりやすい解説

脂質代謝の解説だいぶ解説してきました。

大体の流れ、つかんできましたか?

では、今までの知識を活かし、挑戦してみましょう!

 

今日は第26回の問題から

26-84 食後の代謝変化に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1) 脳では、ケトン体の利用は増加する。
(2) 筋肉では、グルコースの取り込みは減少する。
(3) 肝臓では、脂肪酸合成は増加する。
(4) 肝臓では、ケトン体合成は増加する。
(5) 脂肪組織では、脂肪酸の取り込みは減少する。

 

あせらず、落ち着いて考えましょう。

 

きっと答えがわかるはず。

 

 

解説

(1) 脳では、ケトン体の利用は増加する。

そもそもケトン体が利用されるのは、空腹時です。

よって、間違い✖。

脳では、ケトン体の利用は減少する。

 

(2) 筋肉では、グルコースの取り込みは減少する。

食後は多くの糖が体内に入ってくるので、グルコースの取り込みは増加します。

間違い✖。


(3) 肝臓では、脂肪酸合成は増加する。

食後はもちろん、脂肪酸合成は増加。

よってこれが正解〇!

 

(4) 肝臓では、ケトン体合成は増加する。

ケトン体合成が増加するのは空腹時!よって間違い✖。

正しくは肝臓では、ケトン体合成が減少する。


(5) 脂肪組織では、脂肪酸の取り込みは減少する。

脂肪組織では、食後脂肪酸の取り込みは上昇し、脂肪が蓄積されます。

よって、間違い✖。

 

 

正解(3)

 

 

この問題は、比較的優しかったのではないでしょうか?

 

肝臓、脳と場所が異なるからひっかけかな?とも思いましたが、ひっかけられることなくストレートな問題でした。

 

次回はリポたんぱく質のことをもう少し詳しく解説しようと思います。

リポたんぱく質に不安がある人は是非☆

リポたんぱく質リパーゼとホルモン感受性リパーゼの違いと28回食後代謝の解説

 今日も食後の脂質代謝の問題解説です。

 

続けて解いている人は、同じような問題があるなぁと気づいているのではないでしょうか?

 

早速解いてみましょう!

 

 

28-83 食後の脂質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1) エネルギー源としての脂肪酸の利用が高まる。
(2) 脂肪組織から放出される脂肪酸量は増加する。
(3) リポたんぱく質リパーゼの活性が低下する。
(4) 血中のカイロミクロン(キロミクロン)が増加する。
(5) 肝臓からのVLDLの分泌が減少する。

 

今回は 前回までのブログ解説にはない、リポたんぱく質リパーゼが登場してきました。

これも、栄養学では必須の言葉なので、解説時に詳しく書いておきますね。

 

 

解説

(1) エネルギー源としての脂肪酸の利用が高まる。

これは空腹時のことですね。空腹時はエネルギー源としてグルコースが不足している状態ですから、脂肪酸のエネルギー源としての利用が高まります。

が、この設問は食後のことなので、間違い✖。


(2) 脂肪組織から放出される脂肪酸量は増加する。

これも空腹時についてです。

よって間違い✖。

 

(3) リポたんぱく質リパーゼの活性が低下する。

リポたんぱく質リパーゼ(LPL)とは、中性脂肪を脂肪酸とグリセロール(グリセリン)に分解する酵素のことです

LPLは血中の中性脂肪に働き、分解した脂肪酸を細胞内に取り込む酵素です。

つまり、食後カイロミクロンがたくさん産生され血中を移動していますが、そのカイロミクロンにLPLが働き、脂肪酸を取り出し脂肪組織に取り込むよう働き、脂肪組織で脂肪酸は再び脂肪になり貯蔵されるのです。

なので、食後LPL活性は高くなる⇒細胞内にどんどん脂肪酸を取り込み、脂肪として貯蔵されるのです。

 

よってこの設問は間違い✖。

正しくは、(食後)リポたんぱく質リパーゼの活性が上昇する。です。

 

ここで対比して覚えてほしいのが、ホルモン感受性リパーゼです。

この酵素も中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解する酵素ですが、こちらは、脂肪組織に貯蔵されている中性脂肪に働き、分解し、分解された脂肪酸はエネルギー源などに利用されます。

つまり、ホルモン感受性リパーゼは空腹時に働く酵素といえます。

 

同じ作用(中性脂肪→脂肪酸+グリセリンと分解する)でも、働きかける場所・時が違うと酵素が異なるので、注意です!

 

(4) 血中のカイロミクロン(キロミクロン)が増加する。

食後のことなので、これが正解〇!

この通りです。 

 

(5) 肝臓からのVLDLの分泌が減少する。

VLDLは今までに少し解説しましたが、リポたんぱく質の一つです。

食事からの脂肪はカイロミクロンとなりますが、カイロミクロンは肝臓に運ばれてVLDLとなり、全身を巡ります。

カイロミクロンが外因性(食事由来)なのに対し、VLDLは内因性(体内で合成)と言って区別されます。

 

食後はどんどんカイロミクロンが産生され、肝臓に入ってきますので、当然VLDLも多くなります。

 

よってこの設問は間違い✖。

正しくは、(食後)肝臓からのVLDLの分泌が増加する。です。

 

 

正解(4)

 

VLDLなどのリポたんぱく質についてはもう少し解説したいので、後日問題解説の時にさらに詳しい解説をつけたいな~、と思います☆

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